特集 眠らなければ始まらない! 睡眠と看護師の健康について考える
よい睡眠を促す環境づくり―眠るためにできること
高須 奈々
1
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
pp.789-794
発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101068
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概日リズムと睡眠
目覚まし時計をセットせず,布団にもぐり込む瞬間は幸せなものです.しかし昼までたっぷりと寝ようと思っていたのに,普段と変わらない時刻に目が覚めて驚いた経験はないでしょうか.それは私たちの脳内(視床下部視交叉上核)に約1日周期のリズム(概日リズム)を刻む概日時計が存在するためで,慨日時計は睡眠覚醒や体温,血圧,代謝,内分泌機能など生体内のあらゆる機能に概日リズムを作り出しています.
概日時計は24時間よりやや長い周期の概日リズムを発振していますが,私たちを取り巻く光環境が概日時計を24時間に調節させています.目から入力される早朝から日中の光は概日時計を早め,夕方から深夜の光は概日時計を遅らせます1).夜更かしや朝寝坊などで普段の就寝時間帯に光を浴びたり,起床時に光を浴び損ねると慨日時計が遅れてしまい,普段の生活パターンに戻した直後は寝つきや目覚めの悪さで悩まされます2,3).但し規則正しい生活を送っていても昼夜変化の乏しい光環境下では概日時計は遅れる場合もあり,5,000ルクス以上であれば十分であることがわかっています(図1)4).
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