特集 眠らなければ始まらない! 睡眠と看護師の健康について考える
「眠ること」の重要性―睡眠の正体とその役割
白川 修一郎
1
1国立精神・神経センター精神保健研究所老人精神保健研究室
pp.782-788
発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101067
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睡眠発現のメカニズム
人間の生理現象の大部分は,生体リズム,特に約24時間の周期で変動するサーカディアンリズム(circadian rhythm)に大きく依存している.睡眠・覚醒リズム,深部体温リズム,心拍や血圧の変動,メラトニンや副腎皮質ホルモン等の分泌リズム,血中や尿中のカリウムやナトリウムの濃度変動,表皮細胞や白血球の分裂再生頻度等,生体にはさまざまなサーカディアンリズム現象が見られる.そのさまざまなサーカディアンリズム現象は,いくつかの生体時計により支配され,外的要因により約24時間に同調されている.
生体時計には,光が同調因子で,メラトニン分泌,深部体温,コルチゾール分泌等のリズムを強固に支配し,人間でも視床下部の視交叉上核に存在することが確認されている生体時計(タイプ1),ノンレム睡眠の発現に関わり社会的規制(覚醒時間帯の制限)が同調因子となっている生体時計(タイプ2),臓器内での脂質代謝等の代謝リズムを支配し,食事の規則性が同調因子となっている生体時計(タイプ3)が見つかっている.睡眠の発現容易性は,サーカディアンリズムの影響下にあり,深部体温が下降しメラトニンが分泌される時期に,睡眠の出現傾向は高くなることが判明している(プロセスC).
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