調査・研究
寝たきり状態の患者に対する背面開放座位の効果
井上 幸子
1
,
指田 晴子
1
,
小林 恵美子
1
1東京白十字病院2病棟
pp.628-631
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101038
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はじめに
脳卒中後遺症や認知症状態にある高齢者は,症状の進行・二次的合併症・加齢による老化などにより,寝たきり状態を招くことが少なからずある.寝たきりは本人にとっても同一体位による身体各部の圧迫や循環障害,廃用性症候群などの生理的な諸障害をもたらし,さらには人間としての基本的な営みである食事・排泄・移動などの諸行動を他人の手を借りなくてはいけない苦痛を生じさせている.これを避けるべく,当院では定期的なリハビリに加え,病棟でも日常生活動作のなかで,患者が食事・排泄・移動・移乗動作など一つでも自立することができるよう援助している.
大久保らは,「背面開放座位が背面密着座位よりも自律神経をより刺激し,それが意識障害患者や寝たきり患者の残存機能の維持,活性化,衰退防止にも有効である」1)と述べている.今回,ADLが低下し寝たきり状態になった患者に「すわろうくん」を使用し,背面開放座位訓練を行なった結果,意識状態の改善やADL拡大が得られたのでここに報告する.なお,本研究を実施するにあたっては,患者及び家族の同意を得ている.
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