今月の言葉
新しい助産婦制度を待望する
pp.5
発行日 1956年6月1日
Published Date 1956/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201061
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先日,ある雑誌を見たところ,今年度の日本医師会の事業計画のなかに,助産婦看護婦保健婦制度の改革という項目があつて,それに関する担当理事者の氏名も記されているのが目にとまつた.それ以上の詳しいことは,私は何も知らないが,これは,助産婦たちとしては注目しなければならないことであると思つたのである.日本医師会は,何といつても我が国の医事衞生に関する問題に向つて,強大な発言力を持つものと思わなければならない.その日本医師会が,何か積極的に我が助産婦制度の改革を考えて,何等かの方策をとろうとしているということは,助産婦たちとしては,充分よく考えなければならぬことであろう.
わが国の助産婦制度は,戦後大きな変革をうけた.特にその目立つた点は,助産婦になるための修学課程が高められ,さらに国家試験を課せられることになつたことであろう.斯くして,助産婦の資質が高められたことは,少くとも理想としては我が国民のために慶賀すべきことであつたにちがいない.また,助産婦,ことに既往に助産婦となつている者たちにとつては,新たに助産婦を志す者に対して,門戸が狭くなつたということが,今日出産数の激減や,入院分娩の著増の折柄大いに歓迎すべきことであつた.しかるに,病院産院を経営する医師にとつては,病院に勤務する助産婦を補充したり増員する場合に,新たに助産婦となる人々が著しく減少したことが大変不都合に感じられる場合が多いのである.
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