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安全な実施には院内の整備が不可欠
当院は病床数300の急性期型一般病院で,平均在院日数は13-14日,7看護単位で2:1(A)の看護体制をとっています.看護職は以前から静脈注射を実施していますが,医師との話し合いに基づいて,静脈注射の種類と薬剤内容に関してそれぞれが受け持つ範囲を明確化しています(表1・図).このうち薬剤内容に関して言えば,医師が行なうと決めているものについては基本的に準備から実施まで医師が行ないますが,看護職は無関係でいられるわけではありません.たとえば麻酔については,医師が行なうものではあっても,必ず看護師がついて医師と看護職の両者で確認しています.アンプルを切るときに医師は看護職に「大丈夫ですね」とたずねますし,看護職は医師が間違うことのないように細心の注意を払っています.
静脈注射について,どこまでをどの職種が受け持つかは,病院特性を勘案して現場が決めればよいと思います.医師が多い施設では原則的に医師がやればよいし,医師の数が少なくて目の前の患者さんを待たせるような状態であれば,看護職がやるしかないと思います.ただし,やるからには安全に実施することが重要であり,そのためにはさまざまな整備が欠かせません.
当院では,各病棟に薬剤師を1名配置しています.昨年末,薬剤師に当院で使用する頻度の高い薬剤リストをつくってもらい,それぞれの薬剤について,希釈濃度,投与速度,投与量,配合変化,予測される副作用などが一目でわかる表をつくってもらいました(表2).薬剤師との連携は安全な静脈注射の実施に欠かせませんが,全国的には病棟薬剤師の数は少なく,看護職との連携が十分取れているとはいえません.病棟薬剤師の配置数をぜひ増やしていただきたいと思います.また,当院ではオーダリングシステムを導入しており,医師の入力指示にミスがあるとエラーメッセージが出るようになっています.静脈注射の実施にあたっては,このようなシステム面での整備や,他職種との連携・協力関係に基づくチーム医療の実践が欠かせないと思います.静脈注射実施に関して今後解決すべきと考える課題は表3のとおりです.
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