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近年,ケアの現場では痴呆,リハビリ,食事,ケアプランやケアマネジメント,介護予防,リスク管理などが取り沙汰されているが,排泄の問題には,それらと比較してあまりにも光があてられていないと感じていた.なかでも,安易におむつに頼り過ぎることによって生じたADLの低下,ごみ問題や全体としてのコストの無駄使いが,これまであまりにも見過ごされてきたのではないだろうか.
そこで,これまでの排泄ケアのあり方を問い直し,どうあるべきかを考える機会として,今回,排泄ケアの実態と関係者の意識についての調査を試みた.排泄ケアの現状を危機的なものと考え行なった緊急の調査であり,調査対象は,無作為ではないことをお断りしておく.
調査の概要
調査目的
施設および在宅で暮らす高齢者のおむつ使用に関する実態と関係者の意識を明らかにし,高齢者の立場に立った,おむつだけに頼らない排泄ケアを推進するための資料とする.
調査企画・実施:NPO法人 市民の立場からのオムツ減らし研究学会
集計・分析協力:高齢者痴呆介護研究・研修東京センター(永田久美子)
資料制作協力:シルバーチャンネル
調査方法
「市民の立場からのオムツ減らし研究学会」の関係者を通じ,以下の2つの調査を行なった.調査期間は2002年7月10日から8月15日までとした.
施設調査
全国8都道府県の施設計1055施設(指定介護老人保健施設196,指定介護老人福祉施設390,指定介護療養型医療施設500,その他22)で働く職員を対象にアンケートを郵送・回収した.有効回答数は567票(53.7%)で,その内訳(複数回答)は,指定介護老人保健施設198票(34.9%),指定介護老人福祉施設134票(23.6%),指定介護療養型医療施設241票(42.5%),その他6票(1.1%)である.
在宅調査
都および近県のケアマネジャー等を通じて,在宅で暮らす高齢者本人,介護家族および介護職計500名を対象にアンケートを配布し,郵送で回収.有効回答数は,331票(66.2%)で,その内訳(複数回答)は,本人59票(17.8%),介護家族85票(25.6%),介護職24票(7.2%),その他・立場無記入が168票(50.7%)であった.
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