特集 くじけてばかりはいられない 糖尿病看護の知恵袋
【トピックス1】糖尿病療養指導士の活躍をのぞむ
松岡 健平
1,2
1日本糖尿病療養指導士認定機構
2済生会中央病院糖尿病臨床研究センター
pp.52-54
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100901
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糖尿病の自己管理には生涯にわたる患者と医療側の密接な連係が必要である.糖尿病のコントロールとは,血糖のみならず,食事・運動の基本療法を適切に行ない,体重,血圧,血中脂質を正常に近づけ,合併症の発症と進展を阻止することである.糖尿病のコントロールの改善に影響するのは,
1)迅速で適切な治療法の選択
2)患者と医療関係者の緊密なコミュニケーション
3)問題解決に向かった患者中心の医療チームの共同作業
4)治療の選択とその転帰情報の患者との共有化
5)治療の開始と調整段階で一貫した基準を持つ
6)治療が失敗してもそれは「患者の失敗ではない」という姿勢
である.患者教育は治療そのものであって,薬理学的な側面を持つ.つまり,薬と同様,適応を誤ってはならない.診断や病状に合致した投薬が大切であるように,動機づけられていない患者や習得能力に欠ける患者に無理な教育カリキュラムを押し付けてはならない.逆に,習得能力があるにもかかわらず,不十分な教育内容で終わらせることがあってはならない.そうした判断が求められるからこそ,そのエキスパートである療養指導士の活躍が待ち望まれるのだ.
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