レポート
女性に対する暴力に向き合う世界のナースたち―12th International Conference of the Nursing Network on Violence Against Womenに参加して
井上 久美代
1
1シドニー大学看護学部
pp.1212-1217
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100844
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The Nursing Network on Violence Against Women(以下,NNVAW)は,“女性に対する暴力”に注目した看護の組織としてはもっとも大きな団体です1).1985年に発足して以来,18か月に一度のペースで会議を開いています.今年度の国際会議は,2人のゲストスピーカーをむかえ,オーストラリアのアデレード市で6月20-22日の3日間開催されました.今年のテーマは,「女性に対する暴力:違いの根拠は? 現時点におけるパラダイムの再考と革新的アプローチの模索により暴力をなくす」であり,アメリカ,カナダ,ニュージーランド,オーストラリア,タイ,その他から看護関係者らが集まり,それぞれの分野での研究発表がなされました.各研究者たちの発表内容は大きく分けると,ドメスティック・バイオレンス(DV)と健康・妊娠,スクリーニング,現在行なわれているDVに対する実践の再考,クリニカルエビデンスなどであり,DVを中心に,看護関係者が今何を考え,何をしているかについての最新の情報交換の場であったと考えられます.
本稿では,アメリカ看護界のDV研究家として,NNVAW会長Janice Humphrey教授とともに草分け的存在である2人のゲストスピーカーの発表から,看護界のとらえているDVの最新情報を伝えると同時に,女性に対する暴力撲滅が世界レベルで考えられるようになってからの傾向として,「暴力と文化」という観点にも触れたいと思います.
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