- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
当病棟は,脳外科・消化器内科の混合病棟(67床)で,入院患者の平均年齢は75.3歳と高齢者が多い.意識障害や脳血管障害による機能障害のため,口腔のセルフケアが困難な患者が5割近くを占めている.しかし,3年前,患者中心にケアされるべき口腔ケアが継続されていない状況にあった.年々業務が繁雑化しているからこそ,看護の基本といえる口腔ケアを日常のケアとして継続させたいとの思いから,当病棟師長である筆者が院内看護研究のテーマとして口腔ケアを提案し,病棟全体として取り組むこととなった.その結果,1年目に口腔ケアが継続できない要因の分析,2年目に看護師の意識調査の再分析と定着化への取り組みを行ない,スタッフが口腔ケアに自信を持って継続して実践できるようになった.さらに,3年目には口腔のアセスメントができるようになったので,その軌跡を報告する.
2001年:「口腔ケア実施の実際と看護師の意識」調査
研究方法
期間 2001年10月1日-11月8日(院内看護研究発表会で発表)
対象 当病棟看護師25名
方法
1)無記名選択回答方式による意識調査用紙,一部自由記載選択回答方式
2)同調査の集計・分析
結果
口腔ケアの実際
口腔ケアの実施は「日勤帯」で「必ず行なう」と答えた人が16%,「ときどき行なう」が84%で他の勤務帯に比べ多く行なわれていた(図1).しかし,その施行回数はケアが必要な1人の患者に1日平均「0-1回」が72%だった(図2).口腔ケアが実施されない場合の理由は「ほかの業務が優先され,あとまわしになることが多いため」が84%で,次に「患者の協力が得られない場合(たとえば口を開けない等)が多く中断してしまう」,「口腔ケアに時間がかかりすぎるため」の順に多かった.また,「口腔の汚れが目立たない時は行なわない」が12%だった(図3).
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.