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緩和ケアにおけるセデーションに対する看護師の倫理的判断
𠮷田 みつ子
1
,
川上 潤子
2
,
古川 祐子
2
1日本赤十字看護大学
2日本赤十字社医療センター
pp.993-997
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100800
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はじめに
緩和ケアにおける終末期のセデーションは,患者の苦痛を和らげることを目的としているものの,意識を低下させることによる人格的活動の低下や,結果として死期を早める可能性等が倫理的な問題として議論されている.わが国では,1996年に雑誌『ターミナルケア6巻4号(1996)」においてセデーションに関する特集が組まれて以降,倫理的ガイドラインが作成され1),セデーションにいたるまでの意思決定過程が明らかにされてきた2).森田ら2)は,医療者にとって,セデーションの意思決定を困難にする要因として,評価困難な苦痛や家族の意見の不一致があり,一方,この要因にはせん妄や意思表示のアンビバレンツ,評価困難な苦痛があると明らかにした.セデーションの意思決定の複雑な実像が明らかになりつつあるが,医療者の倫理的判断や葛藤の内容,患者や家族へのかかわり等については,さらなる調査が必要である.
本研究では,以上を踏まえ,セデーションに関して,患者と家族の意見の不一致がみられる場合の看護師の倫理的判断,および解決方法の実態を明らかにすることを目的とした.
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