連載 わかるようでわからない精神科のコトバ・15
「こっくりさん」②
風野 春樹
1
1精神科医師
pp.484-485
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100723
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さて,「こっくりさん」の話の続きです.前回と同じ論文「オカルトゲームを契機に発症した集団ヒステリー」からもう1つの例を紹介しましょう.
集団ヒステリーと「演技性」
A子とB子は神奈川県の中学校に通う1年生の女子生徒です.放課後に2人で「キューピットさま占い」をしていたところ,何かの拍子に文字盤の「出口」が破れてしまった.するとA子の目が突然つりあがり,いきなりB子に殴りかかりました.B子は,たまたま通りかかった友人のC子と一緒にA子を取り押さえようとしましたが,A子はものすごい力で襲いかかってきました.B子とC子は教室を逃げ出し,トイレに隠れたのですが,なおもA子はドアをよじのぼろうとしたり,声を上げながらドアを叩いたりしていました.
しばらくして声が聞こえなくなったので,A子がいなくなったと思ったB子とC子がおそるおそる外に出ると,2人を見つけたA子が再び襲いかかりました.2人の悲鳴を聞いてかけつけたほかの生徒とともに,みんなでA子を押さえようとしたところ,A子は倒れ,平静に戻ったといいます.
しかし,今度はB子がもうろう状態となり,急に走り出し,4階にある教室のベランダから飛び降りようとしました.続いてC子も同じ状態になってしまいました.
しばらくすると2人は平静に戻りましたが,この学校ではその後4日間にわたって,この3名のほかにも6名の生徒に失神,もうろう状態,手足の震えなどが出現したといいます.
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