特集 困難をバネにする WOCケアのアレンジ術
難治性褥瘡をもつ在宅の患者さん―多職種の連携により悪化を予防できた一例
佐藤 明代
1
1市立札幌病院看護部
pp.1106-1110
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100674
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はじめに
褥瘡ケアは,身体面,社会面,精神面を含めたトータルケアが必要です.特に,慢性で難治性となった褥瘡をもつケースでは,治癒期間が長期化するために精神面でのケアが重要となります.
本稿で取り上げるケースは,2005(平成17)年より仙骨部褥瘡を発症し,在宅ケアを行なっていた患者さんでした.褥瘡が治癒しないことに対し,「薬剤が効かない,医師がよくない」などの不満を抱えていましたが,褥瘡が難治性となった要因は,もともと運動ニューロン疾患,腰部脊柱管狭窄があったことにありました.自立歩行が困難で座位による生活が主で,さらに神経因性膀胱による失禁等の汚染が原因と考えられました.しかし,外来通院中には,このような要因への介入がされていませんでした.
筆者は,この患者が不明熱のため入院し,退院後の在宅に向けて褥瘡ケア指導に対するコンサルテーションがあった際に,WOC看護認定看護師という立場から介入しました.褥瘡悪化要因をアセスメントし,除去するケアが在宅で継続できるよう,患者・介護者の情報収集や多職種間での連絡・調整を中心に行ないました.その結果,退院してから5か月に及ぶ在宅生活の今も,訪問看護師,皮膚科外来との連携により褥瘡は悪化せず治癒に向かっています.このケースについて報告します.
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