巻頭カラー連載 看護に役立つ! 人体の神秘の世界へご招待 からだと病気とミクロのはなし⑧
体内を通る消化管という外界
加藤 真吾
1
,
屋嘉比 康治
1
,
橋本 大定
1
1埼玉医科大学総合医療センター
pp.984-985,1022-1025
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100658
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はじめに
消化管は口にはじまり,食道・胃・小腸・大腸を経て肛門に至る一続きの管です.ヒトが外界から摂取する食物や水や空気は消化管の中を順次通過し,最終的に便として外界に排出されます.つまり,消化管の内腔は内なる外界ともいえ,皮膚が外界に対して体表を覆うのに対比すると,消化管の粘膜は“内なる皮膚”と例えることができるでしょう.
消化管の粘膜表面には,皮膚と異なり,食物の消化吸収を行なう吸収細胞や,粘液を分泌する分泌細胞などが隙間なく並んでいます.また,粘膜下には免疫細胞が無数に存在し,外界から侵入する菌や微生物に対して防衛機能を担っています.
なお,1950年前後に宇治達郎らにより開発された内視鏡(軟性鏡)は,わが国の医療機器メーカーと臨床医のたゆまぬ努力と連携により,今日では体腔に存在するあらゆる隙間に挿入され,内部観察ができるようになっています.当初,管腔臓器の内部診断学としてはじまった内視鏡は,その後内視鏡を活用した各種治療学としても発展を続け,消化器の検査・治療に役立っています.
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