連載 DV被害者に看護師ができること・6
二次被害から守る
友田 尋子
1
1大阪市立大学医学部看護学科
pp.1038-1041
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100553
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支援者が被害者を傷つける「二次被害」を防ぐ
パートナーからの暴力で悩んでいる被害者に対し,「暴力を振るわれるあなたにも非がある」「子どものためにがんばるべきだ」「好きだから逃げないのでしょう」「くだらない男を選んだものだ」といった反応をする人は多い.しかし,前回までに述べたように,DVは,暴力による支配の影響から,被害を受けている女性の心理状態を複雑にする.極限状況で,複雑な心理状態に置かれている被害者を理解することは難しい.それでも,家庭という密室で繰り返し行なわれる暴力や,暴力による支配から被害者が抜け出すには,第三者の介入が必要である.
ところが,やっとの思いで第三者である公的機関にDVの相談をして,たらい回しにされた経験を持つ被害者も多い.被害者は,日常生活のなかでは加害者に支配され,すでに孤立しているため,たった一度であっても第三者から理解を得られなかったという体験が,「やはりどうにもならない」という諦めにつながり,二度と相談しなくなるのである.
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