特集 子どもを守る
子どもを犯罪被害から守るための活動とマニュアルについて
新治 博
1
1千代田区保健福祉部次世代育成支援担当課
pp.599-603
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100619
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子どもを取り巻く今日の環境は,本当に厳しいものがある.昨年・一昨年末,通学路等において小学校低学年等の幼い子どもが命を奪われるという痛ましい事件が相次いで発生,保護者はもちろん,地域の大人も大きな悲しみと衝撃を受けた.また,本年3月にも,川崎市のマンションで15階通路から小学生が投げ落とされ死亡するという,子どもを被害者とする犯罪が発生した.動機や背景が不可解な事件でもあり,保護者や近隣住民を不安や恐怖に陥れた.
これまで日本は安全で治安の良い国と言われてきたが,13歳未満の子どもの犯罪被害件数は昨年1年間で3万4千件を超え,そのうち0~5歳の被害件数は504件と,平成8年の272件と比較して急増している注1).犯罪の検挙率の低下や凶悪犯罪の発生などが危ぶまれる中,全国的に通学路や児童公園などにも防犯カメラを設置,犯罪防止や犯人の検挙に役立てようという動きも見られる.実際,川崎市で発生した事件では,防犯カメラの映像や写真が,早期の犯人逮捕に役立ったと言われている.
犯罪者は,住民の視線を嫌うと言われる.この意味で子どもを犯罪被害から守るためには,防犯・監視カメラ等の物的設備を活用した対策も必要だが,直接的な人間の目の見守りによる死角をなくす取り組みが欠かせない.地域環境や子どもたちの日常の生活実態を踏まえた,具体的・意図的な取り組みが求められている.
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