特集 ―患者を守る!自分も守る!―感染予防の“2つ”の基本
感染管理対策の落とし穴―東京都一斉立ち入り検査の結果から
西塚 至
1
,
稲垣 智一
1
,
白尾 久子
1
,
工藤 恵子
1
,
安藤 真美
1
,
山田 智子
1
,
前田 秀雄
2
,
櫻山 豊夫
1
1東京都健康局医療安全課
2東京都健康局感染症対策課
pp.873-881
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100523
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はじめに
2002(平成14)年1月に世田谷区内の病院でセラチア菌により7名の患者が死亡するという集団感染事故が発生した1).この事故を受け,同年3月7日に,東京都は「院内感染予防対策チェックリスト」を作成しホームページ上で公開するとともに2),院内感染予防対策の実効性を高めるために,同年3月28日から約1年をかけて,都内全病院(671病院)を対象に臨時の立入検査(院内感染予防対策に関する立入検査)を実施した3).
立入検査を行なうにあたり,担当する医療監視員はICD(インフェクションコントロールドクター)等の都庁専門職でチーム編成した.担当者は,法令,通知,ガイドライン等に沿ってあらかじめ指導基準を作成し,指導に臨んだ.
病院には事前にチェックリストを送付して自己点検をしてもらい,検査では各項目(①標準予防策の具体的手法,②病原体感染経路の理解,③職業感染予防,④院内の感染予防対策システム,⑤構造設備面)について書類検査を行なうとともに,実際の診療現場に立ち入り,実地調査を行なった.
今回,医療監視員として本事業に参加した経験から,医療現場において重要な感染管理のチェックポイントをまとめた.感染管理を担当している諸氏において,今後の参考にしていただくことを祈念している.
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