特集 ―患者を守る!自分も守る!―感染予防の“2つ”の基本
医療現場における「清潔」環境のつくりかた
新井 裕子
1
1伊勢崎市民病院感染管理室
pp.864-872
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100522
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はじめに
患者が安心して診療を受けるためには,まず病院内が「清潔」であること,これは感染対策の第一歩である.そして言うまでもなく,医療従事者の感染を予防する意味でも重要なことだ.しかし,「医療現場における」清潔な環境とは,どのような状態を指すのだろうか.このコンセンサスが得られていないために,むやみやたらと感染予防対策を行なってはいないだろうか.それでは,お金や時間,人手がいくらあっても足りず,効率的かつ効果的な感染対策はできない.
医療現場では,滅菌する必要があるもの,消毒する必要があるもの,そのどちらも必要ない(洗浄および乾燥でよい)ものが混在している.何のために使用する器具で,どのような対策が必要なのかを考え,リスクアセスメントを行なえば,滅菌・消毒・洗浄のいずれを行なうべきかがわかる.
医療現場における「清潔」は,環境にやさしく,経済的で,患者も自分をも感染から守るものでなければならない.本稿では,医療現場を清潔に保つうえで重要な環境整備について,具体例を交えて解説する.
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