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事例3
36歳・男性・1型糖尿病・「やばいよね」が口癖(事例提供:船田仁美)
指導も支援も受け入れない患者と医療者の不安
事例紹介
36歳の男性,緩徐進行性1型糖尿病.既往歴はなし.妻と2人の子どもとの4人暮らし.身長168.5cm,体重55kg(初診時52.6kg),BMI 19.
1999年(31歳時),会社の健康診断で血糖上昇(FBG;fasting blood glucose 空腹時血糖値305mg/dl)が指摘され近医受診.2型糖尿病と診断される.2週間の教育入院で食事療法1600kcalの指導を受け,薬物療法(ベイスン0.9mg/日),運動療法,血糖自己測定(SMBG)を開始.半年程度定期通院するが,血糖値低下を理由に自己判断で薬物療法を中断し,通院をやめる.
その後,食事・運動療法で自己コントロールしていたが,2001年5月頃(33歳),血糖値が上昇し倦怠感があったため,事例提供者のクリニック受診となった.受診時FBS265mg/dl,HbA1C11.0%,尿ケトン体3+,抗GAD抗体42.7u/ml,IRI4μV/mlによって,緩徐進行性1型糖尿病と診断された.
初診時に担当医からインスリン療法をすすめられたが「低血糖が心配」という理由で拒否.経口薬で経過するが,その後も受診間隔が長くなって経口薬を切らせたり,多量飲酒もあったりでHbA1Cは9%台と不良.
その後仕事を理由に1か月の治療中断.SMBGを自主的に行なっていたころ,随時血糖(BG)500mg/dlと高値となっていたため心配になり再度受診した.この段階でもう一度インスリン療法をすすめたところ承諾し開始するが,その後も同様の経過を繰り返している.現在ではHbA1C12%台で,本人はしきりに「やばいよね」と口にするが,医師・看護師からの介入に対しては拒否的で,チームとしては非常に心配している患者さんである.
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