特集2 子どもを虐待から救い出すために
子ども虐待を疑う所見・徴候―臨床法医診断から学ぶ観察・記録の注意点
河野 朗久
1
,
橋爪 慶人
2
,
西 克治
3
1医療法人河野外科医院麻酔科
2滋賀医科大学法医学・大阪府監察
3徳州会岸和田病院形成外科
pp.1106-1113
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100229
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はじめに
近年,子どもの虐待に関するニュースが後を絶たない.実態は悲惨で生命が奪われる事例も多く,そのような危険に曝されている子どもは一刻も早く1人でも多く見つけ出して安全な保護の網をかけなければならない.医療関係者に求められる役割は,正確な診断を通して客観的な方法で虐待行為の証明を行なうことである.
しかし,期待とは裏腹な医療関係者の関与不足や行き過ぎた対応も専門家からは指摘されている1).他方,医療関係者からは「虐待」と判断すべき根拠を示すことの困難さが指摘されており,法医学的診断技術の普及が望まれている2,3).
本稿では,児童虐待の基本的な法医学的知識と看護師に期待される視点や診断補助実技,注意点を解説する.なお,紙幅の関係により精神的虐待は割愛する.
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