連載 「気になる子ども」の保健指導・18
育児力の弱い家族・虐待が疑われる子ども
小澤 道子
1
,
栁沢 尚代
2
1練馬区光が丘保健相談所
2渋谷区恵比寿保健相談所
pp.72-73
発行日 1995年1月10日
Published Date 1995/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902749
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【事例1】乳児健診で裸になったA子に目をみはった。全身アカだらけである。頭部から胸部と陰部が特にひどく,洗った形跡がみられないほど汚れて,悪臭を放っていた。そして診察で体を触られる間中,何物かにおびえたような表情で激しく泣いている。その間,母親は,あやしたりすることもなく無表情にながめていた。診察の結果,身長,体重は順調に増え,首はすわってはいたが,うつぶせ姿勢は未経験で,ほとんど1日中寝かされっぱなしとのことであった。
一方,母親は,23歳で未婚。父親の名前は判明しているが音信不通。母親の仕事は飲食業で,勤務は午後5時〜11時。この間は同居の会社員の妹が世話をしている。健診後,育児学級には1回参加したが,保健婦の家庭訪問は,居留守を使われ拒否された。
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