特集 今そこにいる認知症の人たち 病院内で困らないための理解と対処の仕方
米国における急性期の認知症高齢者ケア
北野 敬子
1
1ワシントン州福祉保健管理局
pp.1013-1015
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100214
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日本やヨーロッパ諸国に比較すると,米国はまだ「若い国」と呼ばれている.65歳以上の高齢者人口が総人口の12%程度であるからだ.しかし,高度医療技術や予防医療の発達により,年々高齢者層は増加している.それに伴いアルツハイマー病などの認知症が発生してくる.ほとんどの場合は,認知症患者は高齢者施設,たとえばアシステッド・リビングやナーシング・ホームに入所する.しかし,この高齢者施設の入所中に急性期の傷病が発生した場合,入居者は病院へ移送される.米国における患者在院日数は,世界的に見ても短いため,集中してケアが実施されるのだが,そのような医療現場で急性期症状を伴う認知症患者の管理は容易ではなく,認知症患者にかかるストレスは大きい.
肺炎がなかなか治らない患者の場合
認知症,高血圧および心臓病を患うメリーさん(83歳,女性)が,肺炎のためにアダルト・ファミリー・ホーム(日本のグループ・ホームにあたる)から救急車で運ばれ入院してきた.メリーさんが入院した病棟は内科で,年齢は若いが重症患者が多く,ナース1人が4人の患者を看護助手なしで受け持っており,時には,勤務内に2人の患者の退院,そして同数の入院受入れをしなければいけない状態だった.
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