連載 Check & Step Upシリーズ 剤形別くすりの知識・13
注射剤・1
大谷 道輝
1
1東京逓信病院薬剤部
pp.396-402
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100133
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薬剤に関連した医療事故が多発しており,薬の適正使用が重要になっています.とりわけ,看護師が関与した事故の内訳の1位は薬に関するものであり,その約半数が注射剤関連です.注射剤による事故は致命的な場合も多く,いっそうの注意が必要です.
注射剤は,内用剤や外用剤と異なり,緊急時に使用されることが多く,溶解後の安定性が低く,再利用も困難であるなどの理由から,看護師が病棟で調製を行なうことが多い剤形です.注射剤は本来,溶解に時間がかかることや病棟には清潔な場所がないこと,配合変化が起こりやすいことなどから,薬の専門家である薬剤師による調製が望まれます.しかし,薬剤師による調製ではほとんど診療報酬が認められないことから,服薬指導を主体とした薬剤管理指導業務を優先させる病院が多く,薬剤師が注射剤の調製を行なっている病院はおよそ2割に過ぎないのが現状です.したがって,看護師は,注射剤に関する正しい知識を習得し,医療事故の抑制に努めてほしいと思います.
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