連載 とらうべ
海外発信からみた日本の科学論文
宮崎 継夫
1
1日本出版学会
pp.1017
発行日 1998年12月25日
Published Date 1998/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903468
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ここ数年をみても,日本の自然科学系の英文学会誌数および種類は増加し,論文の生産性も今や米国,英国に次いでいるといわれており,確実に高くなっている.また,国外への情報流通も『Nature』誌,米国癌学会の機関誌『Cancer Research』など外国の主要学術雑誌への日本人研究者の掲載論文数が10%前後あるいはそれを越えるようになるなど,最近の日本の学術情報の国際交流には顕著なものがある.これは海外への情報発信(対外情報発信)という観点からみて,着実に国際化の層の広がりを示すものである.
しかしながら,内実においてはいろいろな課題をかかえている.オリジナルな研究成果(新しい知見)を発表するための文献(一次文献)であり,国際間の学術情報伝達の最も重要な媒体である英文学会誌が増えているといっても,それは自然科学系全学会誌数の15%に満たない.また,電子化の影響を考慮しても,海外での雑誌の購読数は程度の差こそあれ,のきなみ減少しており,全英文誌でありながら,交換・寄贈にとどまり,国外への有償購読数ゼロのものが医学,とくに臨床系に多い.
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