特集 明日の母子ケアをみつめて
母子保健の今日と明日
松本 清一
1
1自治医科大学看護短期大学
pp.990-1000
発行日 1990年12月25日
Published Date 1990/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903257
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1.統計からみた母子保健の現状
わが国では戦後,1952年から乳児死亡率は減少して小児保健の改善が示されたが,妊産婦死亡率や周産期死亡率は減少せず,ことに妊産婦死亡率は,1950年代前半には世界の主要諸国間で最高を示すようになった。
1960年代に入って,高度経済成長時代を迎え,都市化が進行した。この時期に起こった最も顕著な現象は施設内出生の急増で,1947年には全出生のわずか2.4%を占めるに過ぎなかった施設内出生が,1953年頃から次第に増加してきたが,ことに1958年からはわずか7年間に30%から80%とほとんど直線的に増加し,1959年と60年の問に施設内外分娩の割合が逆転した。
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