[助産婦雑誌創刊40巻記念特集] 応募論文の審査を終えて
明日の母子保健に期待がふくらむ/ユニークな夢を期待したが……/選にあたって
前原 澄子
,
南野 知恵子
,
宮原 忍
pp.1089
発行日 1986年12月25日
Published Date 1986/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207025
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間もなく幕を閉じようとしている20世紀は,いろいろな意味で激動の世紀であったといえよう。大きな戦争に苦しみ,また予測を越えた科学の進歩により,あらゆる分野ですざましい技術革新をみるにいたった。それらが母子保健にもさまざまな形で影響を与えたことはいうまでもない。戦争や科学に影響されながら,この100年母子保健もめまぐるしい変化をしながら今日に至り,そしてやがて21世紀を迎えようとしている。これらの変化は母と子にとって幸せな部分もあったが,必ずしもすべてがそうであったとは言い切れない。
その反省から21世紀の母子保健が,すべての母と子とその家族にとって幸せとなるような働きであることを願う心が今回の応募論文のすべてに語られていたことが何とも嬉しく,明日の母子保健への期待がふくらんでくるような感じで,21篇を楽しく読ませていただいた。幸せな出産への試み,地域におけるプライマリケア,母性への準備教育,助産婦教育等々,すべてが母と子の幸せへの原点を思い知らされる主張であった。先輩のなし遂げた偉業を素直に学び,これからの社会にふさわしいあり方をみつめる謙虚さと情熱に頭の下かる思いである。21世紀の助産婦の活躍を大いに期待したい。
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