特集 知っておきたい歯と口の健康
歯周病は低体重児出産のリスク要因
梅田 誠
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1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野
pp.899-903
発行日 2002年11月25日
Published Date 2002/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902980
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はじめに
妊娠期には,女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が増え,このホルモンの影響によって歯肉の炎症が起こりやすくなり,特に歯周病が進んでいる女性の場合,いっそう歯肉の炎症が進み,歯周病が悪化する恐れがあります。妊娠後期から新生児早期までの周産期において,母体と胎児の健康にかかわる歯周病に対するケアが大切となります。
晩婚化が進んでいる現代では,出産年齢の高齢化が進んでいるため,妊婦と成人病との関係が,これまで以上にクローズアップされてくると思われます。歯周病は,糖尿病や,循環器系疾患などの全身疾患を亢進させるリスク因子として,妊婦の健康に影響を与える可能性が高く,健康維持のために,歯周病のコントロールが重要です1)。さらに,より重要な問題としては,歯周病は,胎児の発育に悪影響を与え,また,低体重児・未熟児出産の高い危険因子になることです。元気な赤ちゃんを産むために,特に歯周病の管理が重要であることを,周産期女性によく説明し,理解してもらうことが大切です。
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