特集 知っておきたい歯と口の健康
妊娠時の口腔変化
石川 烈
1
,
川嶋 庸子
1
1東京医科歯科大学大学院歯周病学分野
pp.889-892
発行日 2002年11月25日
Published Date 2002/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902978
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近年,口腔内の状態,とりわけ歯周組織の炎症状態が,人の体全体の健康に大きく関連していることが知られ始めたが,一般的にはまだそのような認識は広まっているとはいえない。特に,妊婦の口腔状態が胎児に影響を及ぼすことに関してはあまり知られていないのが現状であろう。妊婦のお腹の中ではもうすでに,子供の歯が育っているために,歯がはえてきてから子供の歯のことを考えていると遅い場合がある。そこで,妊娠をきっかけに口腔のケアに注目することは,母親の今後の歯科に対する意識を高めると同時に,生まれてくる子供の口腔内の状態を良好に保つためにも重要であると考えられる。特に乳歯の歯質は柔らかく,永久歯と比べてもすぐむし歯になりやすく,また治療は大変な場合が多いために,予防にまさる歯科医療はないといえよう。
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