特集 周産期の糖尿病ケア
助産師が行なう糖代謝異常女性への指導について
福島 千恵子
1
1三重大学医学部附属病院周産母子センター
pp.829-835
発行日 2002年10月25日
Published Date 2002/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902966
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はじめに
妊娠糖尿病(GDM)および糖尿病合併妊娠は,厳格な血糖管理を行なえば,正常な妊婦と同じような経過をたどり,分娩を終了することができる。しかし,血糖管理が不十分であれば,各種の合併症を生じるおそれがあるため,個々に応じた適切な指導が必要になる。糖尿病患者は年々増加の一途をたどっていることがいわれている。妊娠中にGDMを指摘されても,適切な指導を受け,患者自身のきちんとした自己管理が可能であれば糖尿病の発症を予防することができる。たとえ出産後の再評価において患者が糖尿病の診断を受けても,まだ年齢的に若いため合併症が現れていないことが多く,その場合には,予防も可能となる。また,糖尿病合併妊婦の増加も予測され,今後,周産期においても内科同様の指導が必要になってくると思われる。
妊娠前から糖尿病の指摘を受けた女性は自己管理能力があっても,妊娠中の管理については少し異なるところがあるため戸惑うことが多い。一般的に妊娠すると生まれてくる子供のために最大限の努力をしようと治療に対しては前向きとなり,妊産婦の方から専門的な知識を助産師に求めてくることもよくある。こうした患者のニーズに則した適切な指導を展開していくためにも,助産師として糖尿病に関する正確な知識を習得する必要があると筆者は考えている。
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