特集 スタンダードとしての母乳育児を科学的・効果的に援助するために(下)
舌小帯短縮症に関する文献的考察:母乳育児の障害との関連について
瀬川 雅史
1
1勤医協札幌病院小児科
pp.567-575
発行日 2002年7月25日
Published Date 2002/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902910
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はじめに
母乳育児のケアに関わる者にとって舌小帯と哺乳障害の関係は興味深いテーマであるが,近年,舌小帯を新生児期から積極的に切除すべきだという主張が,一般の母親たちや医療現場の問で様々な波紋を巻き起こしている1)。そのため,この問題に関する誌上討論が学会誌で行なわれ1-6),日本小児科学会の舌小帯に関する見解なども発表されている7)。こうした問題が生じたそもそもの原因は,舌小帯短縮症の診断や手術適応などの医学的見解が統一されていないことにあると思われる。本稿では内外の文献を基に,現在までの知識を整理し問題点を明らかにするという目的で,舌小帯短縮症の概念・疫学・病態・合併症・治療方針などについてまとめ,特に関心の高い舌小帯の異常と母乳育児への障害を中心に考察してみたい。
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