連載 新生児医療最新トピックス・14(最終回)
子どもの心を育む医療—やさしさの源泉を求めて
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター
pp.255-260
発行日 2002年3月25日
Published Date 2002/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902844
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はじめに
最終回の今回のタイトルを「心を育む」としたのは,筆者がこれまで30年間新生児医療に携わり,その進歩がもたらした恩恵には十分に感謝しつつも,子どもたちの心の発達に少々の危惧を感じていることによる。一つの具体例は超低出生体重児の長期フォローアップにおいて,運動障害もなく,視力も聴力の異常もなく,さらにIQも100以上なのに,学校という集団でみんなと一緒にやっていかれない学習障害児や,注意欠陥多動児などの存在が気づかれた1)ことである。その原因は,ハイリスクの子どもたちに,最も進化した生き物である私たち人間が,お互いに理解し合うために不可欠な,心を育てていない結果であることが,近年の脳科学の進歩によって明らかにされつつある。今回は,そのような筆者の反省も含め,いかにして私たちは新生児の心を育む医療をしなければならないかに触れてみたい。
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