連載 新生児医療最新トピックス・11
サイトカイン:生体の細胞と細胞の間を駆けめぐる不思議な物質(上)
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター
pp.1088-1093
発行日 2001年12月25日
Published Date 2001/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902784
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はじめに
みなさんは,癌やC型肝炎の治療に使用されるインターフェロンや,貧血の治療に利用されるエリスロポエチンの名前はご存じと思います。しかし,それらがサイトカインの一種であると言われると「なんだろう」と思う人が少なくないのではないでしょうか。実は,筆者もつい最近まで,リンフォカイン(リンパ球から出る物質の意味)やモノカイン(マクロファージから出る物質)の名前に加えて,インターロイキン(白血球間の伝達物質の意味)や先程のインターフェロンなどの名前が出ると,頭が混乱していました。
しかし,サイトカインという言葉は,文献を開けば至るところに出ておりますし,少し勉強してみると,サイトカインが生態の免疫系や炎症に関係するのみならず,種々の疾患の病態の中心的な役割を果たしていること,また発育などにも関係している極めて重要なものであることを理解するようになりました。さらに新生児領域においても,古くから知られている壊死性腸炎や慢性肺疾患,さらには,私共が未熟児医療で一番頭を悩ませている脳室周囲白質軟化症の病態にまで深く関与しているのです。
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