連載 とらうべ
相手を肯定的に見る癖をつけよう—心のケアの基本
田村 毅
1
1東京学芸大学教育学部
pp.471
発行日 2001年6月25日
Published Date 2001/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902659
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ある時,知り合いの助産婦さんに「助産婦のケアの特徴って,なにかありますか」と尋ねたことがあります。以下が,彼女の答えでした。
“自分の価値観を押しつけてしまう,そんな専門職のサガが強い職種のように思います,助産婦って。たとえば,母乳哺育がすばらしいことは誰でもわかってます。それでも,おっぱいケアがうまくできない産婦さんに向かって「みんなやってることなのよ」とか「赤ちゃんのためだから頑張って」なんて言われたら,悲しくなるじゃないですか。たとえば,中絶を選んだ女性に対して,医療者はどこか冷たく接する。「痛いのは当たり前」「当然の罰」「中絶された赤ちゃんがかわいそう」みたいな。たとえば,陣痛で苦しんでいるお母さんが,痛さのあまり大声で叫んだりする。そのとき,「赤ちゃんのためなんだから,お母さんも頑張って」とか,「この痛みがないと,赤ちゃんが産まれないのよ」なんて言われて,お母さんってケアされたことになるんだろうか。”
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