連載 判例にみるジェンダー・6
日本人男女間に生まれた子どもの養育費をめぐる米国の裁判
石井 トク
1
1岩手県立大学看護学部
pp.546-547
発行日 2001年6月25日
Published Date 2001/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902672
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子どもの権利
1960年代後半頃からアメリカで始まった女性の解放運動に刺激を受けて,子どもの権利を提唱する運動も盛んになった。そして1970年,ニクソン大統領のもとで開かれた第7回ホワイトハウス児童会議(White House Conferenceon Children)に子どもの権利部門が設けられたことによって一段と拍車がかかった,。生殖医療技術の進展によって,親は子どもを選ぶことができる時代にもなった。しかし,子どもは親を選ぶことができない。だからこそ,どの子どもも愛され,養育される権利を有するのである。
言い換えれば,人は,本来自分の事は自分の責任において決定すべきであるが,子どもはそれができないので,そのために生じる問題を,子どもの利益・権利のためにどのように法的・社会的整備で整えていくかである。まず,子どもの利益に最も関連するのは,夫婦の法である婚姻法である。生まれた子どもの身分は,親の有効な結婚,無効な結婚によって定まるという不条理が存在する。
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