連載 新生児医療最新トピックス・5
未熟児の栄養法—華ひらく消化吸収機能
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター
pp.454-459
発行日 2001年5月25日
Published Date 2001/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902653
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経腸管栄養の重要性
1995年に長崎で行なわれた第42回日本小児保健学会の「子ども生活と食」と題するシンポジウムにおいて,筆者は「胎児・新生児の華ひらく消化吸収機能」と題する座長解説講演を行なった1)。このタイトルは,一緒に座長をした南部春生先生が仕掛けたものであったが,この分野には不得意な筆者としては,一から勉強するつもりでそのテーマに取り組んだ。その結果,思わぬ大きな収穫があった。それは,私の講演に感激してくれたのか,某大学教授から「そのスライドを一式譲ってくれ」と言われたことである。自慢話ではなく,在胎24週前後の胎児のような未熟児でも経腸管の母乳栄養を行なっていることに対し,学問的なサポートを得られそうな手掛かりがあったことである。
筆者の友人で,卓越した臨床家であった故増本義博士は,「未熟児は子宮内環境から子宮外環境への適応に一生懸命努力している最中であるから,生後数日間は余分な負担をかけるべきではない」という考えのもとに,特に超未熟児は最低1週間飢餓(NPO)の時間を設けていた。また,新生児科医にとって,その管理に最も難渋する疾患である壊死性腸炎(NEC)は,その発生の因子のひとつとして,腸管栄養が考えられていたので,それを防ぐ目的からもNPOの時間を持つことが考えられていた。
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