連載 とらうべ
助産師問題もう一つの視点
鍛冶 良実
1
1(財)日本性教育協会
pp.379
発行日 2001年5月25日
Published Date 2001/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902639
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「あなたはパートナーが異性だから,子供は簡単に作れていいわよねえ」と仲間からひやかされていたのは,ニューヨークのレズビアン・ゲイコミュニティーサービスセンターで,実習生として働いていた時だった。「センターキッズプログラム」は,レズビアン,ゲイのカップルたちの子作り・子育てサポートグループで,そこでは女性同士のカップルは精子銀行などを利用して自宅で大型スポイドを使って子作りしていた。男性同士のカップルの多くは養子を迎える手続きをとり,最も引き取り手が少ない,有色人種で,先天的障害,母体からの薬物の影響,HIV感染などを背負っている子供たちを喜んで引き取って育てていた。
カップルで子供を持つというのは,同性愛者にとっては未踏のいばら道である。障壁を乗り越えて,「子供を育てたい」という自らの心の底から涌き出てくる願いをまっとうし,感謝して子育てをしている彼らに接して,子育てに性別はない,そして性的指向も関係ない,ただ,子供を育てたいという強い願い,子供に対する愛情が重要なのだと実感した。
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