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公的介護保険に異議あり—もう一つの提案
田村 誠
1
1東京大学医学部保健社会学教室
pp.732-733
発行日 1996年8月1日
Published Date 1996/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905146
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公的介護保険論議に参加するための必読書
『公的介護保険に異議あり[もう一つの提案]』という実に刺激に満ちたタイトルの本が出版された.大阪市立大学の里見賢治氏,日本福祉大学の二木立氏,コペンハーゲン大学の伊東敬文氏の3氏による共著である.そして,中身はタイトル以上に「刺激的」である.また,刺激的なだけでなく現実的な「示唆」も多々ある.
本書の主張はきわめて明快である.介護保障制度としては,社会保険制度によるよりも,公費負担方式(租税)によるほうが望ましいというものである.タイトル通り,まさに「公的介護保険に異議あり」を主張している.ただし,二木氏は,現実的な可能性などを考慮し,公費負担方式のほうが望ましいとしながらも,公的介護保険導入に「絶対反対」の立場はとらず,社会保険制度を構築する場合の具体的な提案を論じている.
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