Medical Scope
分娩時に原因を求められる新生児の脳障害について
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.1011
発行日 1999年11月25日
Published Date 1999/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902294
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出生した新生児の脳障害の原因としてあげられている多くの因子のなかには,分娩第2期の胎児娩出期に発生するものもいくつかあります。物理的な頭蓋の圧迫力もそのひとつであることは私たちもよく知っています。また,低酸素症も大きな原因です。しかし,分娩時の外傷的要因による新生児の脳障害は早目に難産を回避するために帝切が行なわれたり,分娩中の胎児監視の充実のために早期に胎児仮死を発見したりすることで,以前よりはずいぶんと減少してきています。
そんな今日でも,少数例ですが,分娩時にその原因を求められる新生児の脳障害例はゼロになっていません。そして,今日的には少数例のそれらの症例の原因にはどんなことが関与しているのか,アメリカにおいて1997年にこの問題に対するいくつかのレポートが提出されています。これらを見ていくと,いくつかの共通点があるようです。以前から言われているように過期妊娠,羊水過少症,妊娠中毒症などの母体合併症がその背景にあるというのも事実ですが,何と,VBACという前回帝切妊婦の経腟分娩時に起こった子宮破裂も大きくクローズアップされてきたのです。
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