Medical Scope
出生時の新生児へのストレス
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.1091
発行日 1985年12月25日
Published Date 1985/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206788
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「出生時(胎児娩出時という意味)には新生児にストレスが加わっている」と書いてある書物が沢山あります。この現代のはやり言葉は,今日では,出生前の胎児時代にまで波及して用いられています。NSTが胎児にストレスを与えないでそのままの胎児情報を得る手段なら,CSTあるいはOCTは胎児にちょっとしたストレスを与えて胎児がそれに耐えられるかどうかをみるテストといえるでしょう。胎児にとって,このときのストレスというのは子宮の収縮ということになります。分娩のときには分娩陣痛という強い子宮の収縮があるわけですから,すべての胎児は分娩中に多くのストレスを受けて生まれてくるということになります。
このことは,出生直後の新生児の臍帯血中のカテコールアミンを計測してみると,そのストレスが多いか少ないか,あるいは胎児が大きいストレスと感じたかどうかによってその値が異なってくることからも証明されています。たとえば,何らかの適応によって陣痛が始まる前に帝王切開で出生した新生児の出生時のカテコールアミンの値は低く,ストレスを受けていないことが考えられます。これに反して,非常に難産で分娩時間が長いうえに鉗子分娩で出生したような新生児では,カテコールアミンの値が高く,分娩中に胎児は多くのストレスを受けていたことがわかります。
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