特別寄稿
タイ山岳民族ポーカレンとスゴーカレン授乳婦の信念や慣習が子どもの健康と栄養に及ぼす影響
大森 絹子
1
1金沢大学医学部保健学科
pp.430-435
発行日 1999年5月25日
Published Date 1999/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902173
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はじめに
東南アジアを含めた多くの伝統的社会において,キリスト教が開発と近代化に与えた影響は大きいとされる1〜5)。開発とは物理的,社会経済的なプロセスであり,例えば,土地の開墾,自給自足農業から換金農業への交代,道路建設,灌漑,学校や病院の建設等はもちろんのこと,伝統的社会においては,外界との接触も含まれる。
近代化とは,開発によって引き起こされた結果である。これもまた非常に広範囲な意味を含むが,科学技術や西洋文化だけではなく,伝統的社会においては,食事や医療における社会文化的,心理学的行動変容がもたらす影響も含む。具体的な例として,母親の授乳期間の変化,離乳時期や離乳食の変化,食事パターンの変化,伝統的民間医療から新しい医療サービスの受け入れへの変化などがある。
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