連載 とらうべ
書くことのすすめ
高嶋 妙子
1
1聖隷浜松病院
pp.273
発行日 1999年4月25日
Published Date 1999/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902140
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私は他人に何かをすすめるよりも,他人からすすめられることのほうが圧倒的に多い人間である.またすすめられてもなかなか試みることさえしないという頑固なところがある.他人からよく活発だとか行動的だと言われるが,本性は狭く消極的な人間なのである.
このような私がためらいなく他人にすすめることが2つある.それは「自然の中に身を置くこと」と「書くこと」である.前者は素直な自分を取り戻すためであり,後者は今の自分を確認し新しい自分を創るためである.この繰り返しが人間にとっての成長であり,人生を生きるということなのだと考えている.であるから,私にとってこの2つは食べることや寝ることと同じように,生活の中に溶け込んで欠くことのできないものになっている.それでも「書くこと」には,いささかなりとも意識的な向かい方が必要のようである.
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