今月のニュース診断
低用量ピル未認可の背景を考える—求められる性と中絶の議論
斎藤 有紀子
1
1明治大学法学部法哲学・生命倫理
pp.6-7
発行日 1999年1月25日
Published Date 1999/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902085
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中絶反対派のテロ
98年10月,ニューヨーク州でバーネット・スレビアン医師が射殺された。犯人は不明だが,反中絶過激派との関連が疑われている。中絶反対派は毎年カナダの英霊記念日(11月11日)を「生まれてこなかった子供を悼む日」とし“中絶医”の狙撃事件を起こしてきた。FBIは今年1月,カナダ政府特捜班との合同捜査に踏み切り,全米中絶医連盟も10月に会員医師に警戒を呼びかけたばかりであった(「中絶ドクターにテロの魔の手」NEWS WEEK98年11月11日号)。
中絶の是非が大統領選の争点となる米国で,賛成派と反対派は常に緊張関係にある。射殺・銃撃・爆破・放火は全米で200件近く。このような暴力行為は“中絶反対運動にとってむしろマイナス”と考える世論も86%あり(前掲誌),議論・対話の重要性は一般に認識されている(残りの14%をどう評価するかの問題は残るが)。
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