今月の臨床 低用量ピル—新しい避妊法を知る
低用量ピルの副効用
髙橋 健太郎
1
,
宮﨑 康二
1
1島根医科大学医学部産科婦人科
pp.402-405
発行日 1997年4月10日
Published Date 1997/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902896
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経口避妊薬(ピル)は現在全世界で6,000万人以上の女性が使用していると言われており,最も避妊効果がある(0.07100婦人/年)避妊法である.ピルは欧米での35年の長い使用経験から,その効用および副作用などについては数多くの研究がなされている.発展途上国においては,人口問題の観点から避妊効果の優れたピルは高く評価され使用されてきた.しかし,先進国においては,避妊効果の高い評価の反面,虚血性心疾患,高血圧,静脈血栓症などの副作用が強調されてきた.わが国においても,これらの副作用が広く報道され,実際にはまれな危険因子であるにもかかわらず「ピルは副作用が強いもの」として一般女性の考えが定着しているのも事実である.
しかし,ピル服用者は骨盤内感染症,子宮外妊娠,卵巣貯留嚢腫,子宮内膜癌および良性卵巣腫瘍の発生を予防し,月経異常を軽快させる利点があることが認められている.またConnell1)によればピルを服用することにより,約6万人のこれらの疾患の患者の入院を阻止することができると報告している(図1).以上より,従来強調されてきたピルの危険性のみでなく,避妊以外の効用も再検討する必要がある.
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