研究・調査・報告
産後うつ病の早期発見にマタニティ・ブルーズアンケートを取り入れて—アンケート結果から看護者が取り組んだ改善点
佐藤 邦子
1
,
伊藤 厚子
1
,
高橋 美智
2
,
田鎖 とく子
2
,
村田 圭子
2
,
小瀬川 久恵
3
,
佐々木 はつ子
3
,
木村 陽子
3
,
大沢 扶佐子
4
,
長井 キミ
5
1盛岡赤十字病院母子精神研究グループ産科外来
2盛岡赤十字病院母子精神研究グループ産科病棟
3盛岡赤十字病院母子精神研究グループP・NICU
4盛岡赤十字病院母子精神研究グループ小児棟
5盛岡赤十字病院母子精神研究グループ精神科外来
pp.73-77
発行日 1998年1月25日
Published Date 1998/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901865
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はじめに
一般に,出産後の母親は周囲からも祝福され,「幸せなお母さん」というイメージを抱かれやすい。しかし,実際に育児をしている母親には多くの戸惑いや不安が生じている。自分が描く理想のお母さん像と実際に体験している育児に対しては大きな違いを感じている母親が多い。無理に理想のお母さん像に自分を当てはめようとする時,育児は大変つらいものになる。母親と子供にとってつらく不幸な日々は,母子の関係性障害を起こし,育児ができない状況になりかねない。
退院を目前にし,「子供はいらない。子供のことを考えると憂鬱になる」と言いだした母親がいた。精神科に紹介となり,子供を乳児院に預け,母親は治療に通う日々が続いた。この母親は産後うつ病による育児困難をきたしたのである。
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