特集 マタニティーブルーと産褥期うつ病の臨床
マタニティーブルーと産褥期うつ病の臨床
一ノ渡 尚道
1
,
越川 法子
1
1防衛医科大学校精神医学教室
pp.568-572
発行日 1985年7月25日
Published Date 1985/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206679
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はじめに
妊娠・出産など女性の生殖機転に関連して起こる精神障害は,生殖精神病と総称されてぎたが,このうち頻度,症状の点から最も問題になるのは産褥期である。女性の生涯において妊娠時には一般に精神障害の発症や病勢増悪は少ないとされているが,産褥期には精神障害や心理的困難が高頻度に出現する。出産後通常6か月までに発症した精神障害は産褥精神病と呼ばれ,病像や経過の特異性を認め独立の疾患概念として用いられた時期もあった。しかし今日では,一つの疾患単位を構成するものではなく,複数の疾患が周産期に発現したものの集合体と考えられるようになり,産褥期ないし産後精神障害(puerperal/postpartummental disorders)と総称される1)。
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