連載 とらうべ
ある披露宴にて
荒井 良
1
1子どもの医学協会
pp.359
発行日 1997年5月25日
Published Date 1997/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901697
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10年近く前のことだが,私たちの「子どもの医学協会」のメンバーの1人の助産婦さんが結婚され,その披露宴に出席することになった.熱烈な恋愛結婚で,新郎は,ある国立研究所の極めて秀でた物理学の研究者であった.
アルコールが適当に回ってきた頃,新郎,新婦それぞれの側から挨拶が始まった.当然新郎側から,というのがしきたりである.新郎側を代表した方はいわれた.「新郎は,極めつきの優秀な研究者で,その仕事は,まさに世界にとって不可欠の価値あるものです.新婦は助産婦さんとうかがっているが,こうした大事な研究をする新郎と結婚されたら,できるだけ早く仕事をやめられて,内助の功を尽すようになっていただきたい」.この挨拶には,新婦側の立場で出席していた私には,「何をいうか」という腹立たしさを感じさせられた.口調も居丈高な感じであったからであるが.
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