特別寄稿
受精卵の着床前遺伝子診断の社会倫理的問題点
斎藤 有紀子
1
1埼玉県立衛生短期大学・助産学専攻科
pp.668-674
発行日 1996年8月25日
Published Date 1996/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901537
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はじめに
自分たちの子どもが遺伝的疾患をもつ可能性があるときに,受精卵のうちに診断して,病気にならない子どもを生みわける。そのための「受精卵の着床前遺伝子診断(以下着床前診断)」は,①体外受精,②胚のバイオプシー,③遺伝子診断の技術を組み合わせた,究極の出生前診断・発症予防といわれている。
この方法は1989年,ロンドンのハマースミス病院で初めて行なわれた。5組のカップルが体外受精をし,そのうちの3組が,病気にならない女の子の出産に「成功」したのである1)。
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