特集 母乳トラブルの解決
乳頭トラブルへの対応
鮎澤 幸枝
1
1諏訪マタニティークリニック
pp.455-459
発行日 1996年6月25日
Published Date 1996/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901486
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
乳頭トラブルというと,かつては「原因は児の吸い付きが強いためによる擦過傷であり,痛くても我慢して吸わせていれば治るもの」の一言で押し切られていた。しかしトラブルにも一つ一つの顔があり,プロセスがある。最近は直接母乳(以下直母)が絶対条件のように述べられ,指導されることが多いが,「乳首は吸わせるもの」として,問題があるにもかかわらず,ごり押しすることは,トラブルの悪化を招き,二次的トラブルを併発させ,時に母親の授乳意欲を削ぐ結果を招く。また,時としてはトラブルのため,やむを得ず断乳に至ってしまうこともある。
母親たちに無益な負担を負わせないためにも,母親の訴えに耳を傾け,必ず訴えのある所にはトラブルがあるものと考え,乳房特に乳頭の観察を忘れてはならない。すなわち,「聴く耳と,診る目」を忘れてはならないのである。その上で,適切な診断,そして治療へと移っていくのである。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.