MEDICAL SCOPE
横隔膜ヘルニア胎児の出生時呼吸抑制娩出術
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.259
発行日 1996年3月25日
Published Date 1996/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901442
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超音波断層診断の技術が発展してきて,多くの胎児疾患が出生前に診断されるようになりました。そのなかでも,なかなか難しいのですが,先天性横隔膜ヘルニアも胎児時代に診断されるようになりました。胎児の心臓が右側にあるのではないかと思われるほど偏位していたり,肺が小さいと考えられる症例をよくみてみると横隔膜ヘルニアのことがあるのです。
さて,このように胎児診断されると,横隔膜ヘルニアの胎児は出生後に手術を受けることになりますが,その予後はよくなったでしょうか。つまり,出生前診断ができなかった以前と比べて,できるようになった今日ではずっと手術成績もよくなり,生存する新生児の症例数も増加したのでしょうか。残念ながらそうではありません。あまり予後の成績は変わらないのです。それは,どうも出生時の新生児の状態による因子が大きく関与しているらしいことが予想されてきたからです。
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