わたしの助産術
胎児娩出術
藤田 八千代
1
1神奈川県立衛生短大
pp.772-776
発行日 1977年12月25日
Published Date 1977/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205309
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1.はじめに
出産をめぐる諸問題は,古くは産事習俗にみるごとく,自然現象の1つとして迎えられ,また処理もされてきた。したがって異常や疾病に起因する問題も,科学・医学による解決をまたずに風俗や習慣として,あるいは宗教や信仰の力を借りて理とし,また祈りに任せてもきた。そのために出産の取扱いが風俗習慣を超えて衛生的になり,ましてや理論的に扱われるようになってから,必ずしも長い年月を要しているわけではない。
助産婦の行なう分娩介助にしても,理論的背景は主として産科医学にまつところが大きいが,一方で,多年助産婦業務に精進してこられた先輩諸姉の体験に成る方法や手技にも見るべきものがあり,現在の助産術の根本をなしているものも少なくない。しかし臨床の場のちがいによって開発された技法に特色があったり,個々人の創意によって編み出され発展してきたものなどがあり,児頭娩出術1つを取りあげてみても,幾通りもの技法がみられる。
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