ニュース・プラス・ワン
無視されがちな,女性の医療被害
根本 悦子
1
1出会いの医療をつくる会
pp.180-181
発行日 1996年3月25日
Published Date 1996/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901430
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排卵誘発剤の副作用被害
昨年暮れの12月10日,新聞紙上に「排卵誘発剤で副作用,1人死亡11人重症」という大きな活字が踊った。不妊治療や体外受精では排卵誘発剤として「HMG-HCG」製剤が使用される。不妊のなかでも排卵障害に対する刺激療法や,体外受精で卵子をたくさん採るために使われるらしい。まず卵胞の発育を促進させるHMG製剤を投与したあとに,排卵誘発剤のHCG製剤を投与するというものだ。ところが,もともと体にある卵胞刺激ホルモン,黄体化ホルモンの作用で,卵巣の過剰反応が起こりやすくなるという。
現在HMG製剤は6社が7製品,HCG製剤は7社が8製品を出している。この時点で新聞社が製薬会社に行なった調査では,厚生省に報告された重大な副作用は,82年の死亡例のほかに,90年に1人,92年に3人,94年4人,95年3人で,回復した2例を除いていずれも脳血栓や脳梗塞をおこして言語や視覚障害の後遺症に苦しんでいることが分かった。しかし厚生省がこうした副作用を添付文書に明記するように命じたのは95年の5月になってからであった。
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